05月27日: 目標は誰が決めるのか
赴任して4ヶ月が過ぎました。私の契約期間の6分の1があっという間に過ぎてしまいました。プロジェクトのこともようやく把握できてきたかな、と思ったところでもう既にプロジェクト自体残すところ約1年半。既に折り返し地点です。ようやく1年目の結果を分析し、今後にどう活かせるのか考え始めたところ。4月、5月と野菜出荷事業参加者の組合員に対して行った調査をもとに、スタッフと毎週のように話し合いをしてきました。
しかしふと思いました。スタッフが野菜の生産量や栽培技術の浸透などを事務所で一生懸命議論しているとき、当の生産者たちはどう考えているのだろうかと。聞けば生産者ミーティングでもリーダーミーティングでも特に一年間のふりかえりや次の年の目標設定はしない、とのこと。それではいくらIVYスタッフががんばっても何も変わらないのでは。野菜を育てるのも売るのもスタッフではなく組合員の女性たち自身なのですから。
で急遽今月は実験村4村で野菜出荷メンバーを集めてふりかえりのワークショップを行うことにしました。4村の月ごとの生産量、販売量、組合への収入(利益の15%)と合計のデータを発表。これにメンバーたちは強く反応しました。4村の結果を一緒に見せることで、彼女らの競争心を刺激したようです。「うちの村は生産量は少ないけど、組合への収入は多いわ!」などと満面の笑みを浮かべて模造紙に書かれた数字を眺めています。自分たちのしていることが数字という結果になって出てくることがきっと新鮮な体験だったのでしょう。
そこで今度は今年度の目標設定。実はプロジェクトの始めにも目標設定、というのはされていました。あるときその数値の書かれていた紙を見つけてびっくり。毎日全体で130キロの出荷とか一年に生産者一人あたり100ドルの収入とか現実とはほど遠い数値が書いてあります。聞いたところIVYのマーケティングチームが作ったとのこと。しかしこの目標に向けた行動はどの村でも取られていません。恐らくこの目標値もスタッフも実際にプロジェクトが始まってしまえば忘却のかなたになってしまっただろうし、組合のメンバーたちも聞いていないか、聞いていても現実感なく右から左に聞き流されてしまったのだと予想されます。しかし今回はこの二の舞は踏めません。
ではどうするか。まず目標というのは誰が設定するものなのか。
個人的なことで恐縮ですが、私は日本で学校に通っていたときに「○○をがんばりましょう」と学校側で決められるのがすごくいやでした。人に言われて何かをがんばった記憶がないひねくれ者でした。何かをしましょう、しなさい、と上から言われると、とたんにそれをする気がなくなるのです。でもアメリカの大学に行ったときに、急に誰も私に○○をしなさい、と言わなくなりました。それには一瞬とまどいましたが、私はすぐに自分で目標設定をし、猛烈に勉強しだしました。そういった経験から言わせてもらうと、人は他人の設定した目標は達成しようという意欲が起きないが、自分で設定した目標に対してはがんばる、ということです。
で、話は村に戻って、村ごとの生産者ミーティングで野菜出荷グループの目標設定とアクションプラン(目標達成のために実際にどうするのか)づくり。みな嬉々として話し合いをしていました。「今年はもっとがんばるんだ」という意欲が顔にあふれています。問題点ばかりクローズアップされてため息や沈黙の多い事務所で行われるスタッフのミーティングとは大違いです。なんだ、やっぱりこれでよかったんだと私も安堵の胸をなでおろしました。
本当に目標値(だいたい前年度の1.5~2倍の数値)が達成されるのかどうか、これはまた別の問題でもあります。気候、土壌の状態、市場価格、種の入手、畑仕事の担い手、彼女たちがコントロールできない様々な要因が関わってきます。でもまず彼女たちのやる気。これがなければいくら種があっても芽は出ないでしょう。ここからが今年度のスタートです。

(写真:ロムデン村のミーティング。右に立っているのが筆者。)
(M)
しかしふと思いました。スタッフが野菜の生産量や栽培技術の浸透などを事務所で一生懸命議論しているとき、当の生産者たちはどう考えているのだろうかと。聞けば生産者ミーティングでもリーダーミーティングでも特に一年間のふりかえりや次の年の目標設定はしない、とのこと。それではいくらIVYスタッフががんばっても何も変わらないのでは。野菜を育てるのも売るのもスタッフではなく組合員の女性たち自身なのですから。
で急遽今月は実験村4村で野菜出荷メンバーを集めてふりかえりのワークショップを行うことにしました。4村の月ごとの生産量、販売量、組合への収入(利益の15%)と合計のデータを発表。これにメンバーたちは強く反応しました。4村の結果を一緒に見せることで、彼女らの競争心を刺激したようです。「うちの村は生産量は少ないけど、組合への収入は多いわ!」などと満面の笑みを浮かべて模造紙に書かれた数字を眺めています。自分たちのしていることが数字という結果になって出てくることがきっと新鮮な体験だったのでしょう。
そこで今度は今年度の目標設定。実はプロジェクトの始めにも目標設定、というのはされていました。あるときその数値の書かれていた紙を見つけてびっくり。毎日全体で130キロの出荷とか一年に生産者一人あたり100ドルの収入とか現実とはほど遠い数値が書いてあります。聞いたところIVYのマーケティングチームが作ったとのこと。しかしこの目標に向けた行動はどの村でも取られていません。恐らくこの目標値もスタッフも実際にプロジェクトが始まってしまえば忘却のかなたになってしまっただろうし、組合のメンバーたちも聞いていないか、聞いていても現実感なく右から左に聞き流されてしまったのだと予想されます。しかし今回はこの二の舞は踏めません。
ではどうするか。まず目標というのは誰が設定するものなのか。
個人的なことで恐縮ですが、私は日本で学校に通っていたときに「○○をがんばりましょう」と学校側で決められるのがすごくいやでした。人に言われて何かをがんばった記憶がないひねくれ者でした。何かをしましょう、しなさい、と上から言われると、とたんにそれをする気がなくなるのです。でもアメリカの大学に行ったときに、急に誰も私に○○をしなさい、と言わなくなりました。それには一瞬とまどいましたが、私はすぐに自分で目標設定をし、猛烈に勉強しだしました。そういった経験から言わせてもらうと、人は他人の設定した目標は達成しようという意欲が起きないが、自分で設定した目標に対してはがんばる、ということです。
で、話は村に戻って、村ごとの生産者ミーティングで野菜出荷グループの目標設定とアクションプラン(目標達成のために実際にどうするのか)づくり。みな嬉々として話し合いをしていました。「今年はもっとがんばるんだ」という意欲が顔にあふれています。問題点ばかりクローズアップされてため息や沈黙の多い事務所で行われるスタッフのミーティングとは大違いです。なんだ、やっぱりこれでよかったんだと私も安堵の胸をなでおろしました。
本当に目標値(だいたい前年度の1.5~2倍の数値)が達成されるのかどうか、これはまた別の問題でもあります。気候、土壌の状態、市場価格、種の入手、畑仕事の担い手、彼女たちがコントロールできない様々な要因が関わってきます。でもまず彼女たちのやる気。これがなければいくら種があっても芽は出ないでしょう。ここからが今年度のスタートです。

(写真:ロムデン村のミーティング。右に立っているのが筆者。)
(M)
05月07日: グラフブーム到来?

一週間のクメール正月休みも終わりました。
スタッフたちもリフレッシュしてきたようです。初日みんなが笑顔でいるのでなんだか私もうれしくなりました。(日本だとゴールデンウィーク明けってなんか憂鬱だった記憶があるのですが。)
相変わらずフィールドには出ず書類の山に囲まれてパソコンに向う日々です。あまりにも作る書類が多いので当然スタッフと分担をします。まかせて私が最終チェックを入れる、というパターンも多々あります。するとレポート作成や分析の力のレベルなどがよく分かります。
これはもちろん個人差があることなのですが、こちらのスタッフ新しい知識を学ぼうとする意欲が非常に高いのには驚かされます。乾いた土の上に降る雨のように、私が伝えたことを吸収していきます。当然私なんかが言うことですから大したことを言っているわけではありません。伝えたことが完全に理解されていないときも多々あります。でも彼らの作っている書類を見て「ああ、そういえばこんなこと教えたっけ」とこちらが思い出すぐらいよく彼らは覚えています。
ミーティングが突然英語の授業になることもしばしば。先日も一人がある言葉の意味について質問してきたので「じゃあミーティングが終わってから個人的に教えるから」と言うと、みんなから一斉に「私も知りたい!」という視線が。そこで急遽英語の授業。こういうときのスタッフは集中力もあり、熱心にノートを取っています。私も英語の先生としてやりがいを感じるひととき。。って職務が違いましたね。失礼しました。
ところで「乾いた土」というぐらいですから、何か新しいアイディアを言うと一瞬彼らは固まります。私にとっては当たり前のことなんですが、何か突拍子もないことを言ってしまったかしら、という気持ちに一瞬なります。
例えば現在のプロジェクトは野菜の共同出荷なので当然出荷量や売上げなどの数字が関わってきます。そのデータを取ってくるのは問題がないのですが、そのデータを見やすいように棒グラフや折れ線グラフでまとめて分析する、という考えが彼らの中にはなかったようです。思うに分析好きの日本人はメディアを通して日常的にこうした分析に触れているのですが、カンボジアの文化の中ではそういった習慣はないようで、これにはかなり難儀しました。しかし私も分析好きの日本人の一人。ここは妥協できません。慣れてもらうしかないと毎月のレポートには必ずグラフを入れるようにみなに伝えました。(みな一瞬こわばってましたが。)
そして二ヶ月。グラフづくりに難儀している状態は変わりませんが、そんなに何種類もいらないんだけど、と思うぐらいレポートがグラフだらけに。。毎月のレポート以外のところでもちらほらグラフを自主的に作っているケースが見られるようになってきました。初めてグラフを用いた資料で分析をさせたとき、内容の分析ではなく「どうやってこのデータを入手したか」というとんちんかんな分析をしてしまったことを考えると大きな進歩です。みなグラフを作って何をどう分析するのか、という考えまではいたっていないようですが、とにかく数字を入力してクリック一つでいろいろなグラフができる楽しさにはまっているようです。今年はIVYではグラフがブーム? (M)
(写真:ある日の会議風景)
