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以前にこのブログでも紹介しましたが、スバイリエン州はベトナム国境地帯に経済特別区域というのがあり、そこにカジノが連立しています。市場も含め、ベトナムの貨幣が使われ、野菜もほとんどベトナムからのものです。ベトナムの野菜は高地栽培という地の利に加え、化学肥料で大量に短い時間で育てられたもの。そのためカンボジアの野菜は値段で太刀打ちできません。
ここで1日に1トンの食糧が消化されるというのに、スバイリエンの農作物は使われないという大きな矛盾。

この矛盾を抱えたままスバイリエンの農民は細々と地元の市場で売っていく、というのが私の予測でしたがここに来て大きなブレイクスルーが起こっています。12月にこのカジノ近くで開催された農業祭ぐらいから風向きが変わってきました。韓国系経営のカジノの一つが「スバイリエンの農業を支援したいから、スバイリエンから農作物を仕入れたい」と農業局に申し出があったのです。願ってもない話ですが、果たして出荷できるほど集まるのか?そして集めるだけの組織力をスバイリエンの農民が持っているのか? 

そこで白羽の矢が当たったのがIVY。農業支援をしている団体は多くとも、現在販売支援まで手がけているのはIVYだけ。農業局から出荷の話が正式にあったのが1月中旬。2月からとりあえず野菜の出荷をスタートというスピードでしたが、とりあえずこのチャンスを逃しては、と見切り発車することになりました。

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一回目は7村から注文のあった200キロの野菜を村で集め、IVYの車に乗せて町の農業局の倉庫へ。次の日の朝、カジノの購買マネジャーとスタッフ一団が訪れ品質、量などをチェック。農業局を通してIVYに野菜の料金約70ドルが支払われました。マネジャーは野菜の品質がいいことは認めましたが、ベトナムの野菜と比べて高いので、いずれは値段を同じくらいまで下げたいとのこと。いえいえ、同じにされては困る。いかに無農薬野菜は地元でもニーズがありいい値段がつくか、ということを女性組合の生産者の代わりに私がマネジャーに訴えました。幸い韓国人マネジャーは日本語も流暢な日本びいきの方でした。値段のことは置いておいて、ぜひカジノの食堂を見学に来てください、とお誘いを受けました。ここ一年NGOスタッフと農民とばかり話してきた私にとって、バリバリのビジネスマンとの交渉は久々に緊張感を強いられるものでした。私でもそうなのですから、カンボジア人スタッフや生産者などは怖気づいてしまうのは容易にに想像できます。仲買人に安くたたかれるパターンがここに生まれるんだな、と身をもって感じました。

しかし内心心配なのは本当に安定供給できるのか、ということ。とりあえずIVYからの出荷は週1回にしてもらいましたが、乾季はいいものの野菜のできない雨季はどうしよう。今はIVYの車を出荷に使っているけど、今後はどうなるんだろう、と懸念材料は山ほど。

一つ確かなことは、女性組合の生産者にとって、いまや販売経路は一つではないということです。村の中でいい値段で売ることもできる。近隣の市場で他の売人よりもいい値段で売ることもできる。プノンペンでも買いたいという日本人もいるし、カジノはかなりの量を可能なら毎日でも買うと言っている。自分の家で余った野菜を仲買人に言い値で売るような野菜販売から、本格的なビジネスへと、今静かに変革を遂げようとしている、というのは大げさでしょうか。少なくてもその始まりであると、信じたいです。

写真上:トラックに野菜を積む
写真下:カジノの購買マネジャーと話し合う松浦

(M)