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日本に18日間ほど帰っていました。毎日いろいろやることがあって、もうちょっといたいな~と後ろ髪を引かれながらカンボジアに戻ってきました。スーツケースを車に積んだまま、事務所に戻らず、野菜共同出荷事業のリーダー研修の行われている村に直接向かいました。私が離れる前はちょうど田植えの時期でしたが、今は青々とした田んぼがどこまでも広がっていました。村の女性たちのいきいきと様子もいつもどおりでした。久しぶりに見たスタッフも充実したいい顔をしていました。こういう風景を見ると、うん、今はやっぱりここが私のいるべき場所なんだな、と感じます。
ところで今日は事務所に新しい顔が登場しました。コミュニティー開発チームで抜けたスタッフの代わりに、なんと村の女性組合委員(女性組合のリーダー。村に数人いて選挙で選ばれる)の女性をパートタイムのスタッフとして雇うことにしたのです。チャリヤさんといって20代の一児の母です。(写真上、中央)
頭良し、器量よし(というのが私の判断)、性格良し、でスタッフのイチオシで決まりました。受益者が突然支援者になったわけですが、スバイリエンを拠点とするIVYにとってはそんなに驚くようなことではありません。なぜかというと、スタッフの中でも地元の村出身の人が実は多いからです。実は高卒のスタッフもたくさんいます。私の観察では地元、それも農家出身のスタッフは地元のために貢献したいという意志が強く、私自身そういう彼らの気持ちを応援したいな、と感じます。高い能力を武器に高給を求めて仕事を渡り歩くプノンペンのNGOスタッフよりも、愚直な地方のスタッフに私は親しみを感じます。それででは地元で誰か雇える人がいるか、と考えたときに思い浮かんだのが女性組合の委員の女性たちでした。彼女たちの勉強熱心さ、理解能力の高さにはいつも感心させられてきました。もし機会さえあれば、もし時代や状況さえ違ったら、私なんて足元にも及ばない、ものすごい優秀な人材として社会で活躍していたんだろうな、と思われる女性たちが何人かいました。この選択に私に直接ではありませんが、異を唱えるスタッフがいなかったわけではありません。住民は外部者のNGOスタッフの話は聞くけど、同じ住民の話は聞かないのでは、と。でも本当にそうでしょうか。そしてもしそれが本当だとしたらそれでいいのでしょうか。実際今週の研修でそれを試す機会がありました。初めに野菜共同出荷活動が始まった村からマネジャーの女性にゲストとして新しく活動を始める村に来てもらい、話をしてもらいました。みな真剣に彼女の話を聞き、「質問は?」と促すまでもなく、たくさんの質問が投げかけられていました。
さてチャリヤさんの事務所出勤の初日。お昼はどうするのかしら、と思って他のスタッフに確認すると「彼女のお父さんが来ているから」と言う。なんと女性が初出勤するときは、最初の数日は父親が送り迎えするそうだ。「カンボジアではそういう文化なのよ。私もそうだった」と女性スタッフ。なんと過保護!変な男に目をつけられたりしないように、ちゃんと父親が見張ってるぞ、ということを示しているのだろうか。
そう、チャリヤさん、ちゃんと挨拶で「地元に貢献したい」と言っていました。スタッフの話では、出稼ぎだと村を離れないといけないけど、IVYで働けば村を離れずに同じかそれ以上の収入を得れるので、家族も喜んでいるとのこと。たった一人ではあるけれど、村に雇用も生み出したことになるんですね。能力があればNGOのスタッフにもなれるんだ、と農村の女性たちが思ってくれる、そんなロールモデルにチャリヤさんがなってくれればいいな、と思っています。早速携帯電話も購入し、英語も習い始めたそうです。やる気まんまんですね。
(M)