11月23日: 海から聞こえる歌声~カンボジアの漁村

水祭りの休暇を利用してカンボジア唯一の海のリゾート、シハヌークビルに行ってきました。
カンボジアというとどこまでも続く田んぼというイメージですが、ここシハヌークビルはだいぶ様子が違います。まわりは山が多いし、町も丘陵にあります。タイのリゾートはすぐそこ、という海にはたくさんの島がありシュノーケリングやダイビングのスポットになっています。またカンボジアの食事で出てくる魚介類は湖やため池で取れる淡水魚がほとんどですが、ここでは天然のイカやエビが豊富に取れます。日本ですと「○○産の○○」と全国どこで取れた魚介もスーパーに行けば手に入りますが、カンボジアは国内流通経路が未発達で、冷蔵庫を備えたスーパーも大都市にしかありません。シハヌークビルで取れる魚介を他の街で食べる機会はほとんどありません。
私としては平地でなく海や山が見れること、豚肉ではなくシーフードが食べられること、欧米人の移住者が多いので食事やカフェなども充実していること、などで「カンボジアっぽくない!」という不謹慎な(?)理由でこの街がすっかり気に入りました。
とは言ってもやはりカンボジア。リゾート開発が進んでいるとはいえまだまだ地元の人たちの生活が息づいています。日が暮れると一機に沖に出ていく木造のイカ釣りの船の景色も圧巻です。その数300とか。農家と言えば日が出る前に置きだすほど早起きですが、シハヌークビルの男たちは夜働くようです。
夜働くのは大人たちだけではありませんでした。ボートで2時間いったところにある人口400人ほどの小さな島に泊まったときのことです。夜9時ごろ、発電機からの電気も止まりそろそろ寝ようかと思っていると、すぐ近くの海の方から子どもの歌声がかすかに聞こえてきました。岩場に立てられたバンガローのデッキに出て月明かりの下目をこらすと、子どもたち二人がそれぞれ発砲スチロールでできた船(昼間それが船だと説明された。写真参照。)に乗って、漁村のある方向に船をこいでいる姿がかすかに見えました。明かりの何もないなか心細いのか、それともそれが習慣なのか、二人で声を合わせて歌を歌いながら家路につく子どもたち。それは今まで聞いたことのないような美しいメロディーでした。

スバイリエンに帰ってくると、新聞にアメリカ大統領選の結果のニュースにまじってソマリアのニュースが載っていました。なぜその記事に目が止まったかというと、男たちの乗った船の写真がシハヌークビルを思い出させたからです。しかし内容はソマリアの漁村の男たちが次々とソマリア沿岸で外国船をハイジャックして身代金で大金を稼いでいるという話でした。昔沿岸の漁村の住民はインド洋でロブスターやマグロを取っていましたが、外国船が来て彼らの取り付けたネットを破壊しながら魚を乱獲し、ゴミを捨て環境を破壊し、とうとう住民は漁業だけでは生計が立てられなくなり、男たちは漁業を捨て、海賊を生業とするようになったそうです。ハイジャックの話はニュースになっても、外国船の魚の乱獲はニュースになりません。私は海に100%生活を依存しているシハヌークビルの貧しい漁村の人たちの生活を思い出しました。歌を歌いながら夜の海をただよっていた子どもたちが、「将来自分は海賊になりたい」などと思い描くことにならないためには、海が守られていく必要があるのかもしれません。垣間見たカンボジアの漁村の生活は農村と同じように物質的に豊かではありませんでしたが、のどかで情緒豊かなものでした。その生活がこれからもずっと続くといいなと願わずにいられません。
(M)

IGsWLNzTeMvT さんのコメント