11月07日: 水祭り

11月からはそろそろ乾季に入るというのに、毎日バケツをひっくり返したような雨が降ります。
今日はプロジェクトを離れて事務所のあるスバイリエンタウンの様子をお伝えします。
11月半ばはカンボジアでは「水祭り」といって三日間のお休みがあります。何をするのかというと、プノンペンを流れる川でボートのレースがあるのです。(川といっても向こう岸が遠くに見えるような大河です。)
この期間カンボジア中から人がプノンペンに集まるのでプノンペンはすごい人になるそうです。この三日間、プノンペンの街中には高速バスが乗り入れないとか。
先日スバイリエンで初めてこのボートレースの予選がありました。カンボジア人でもテレビでしか見たことないというボートレースですからこれは見ておこうと私も早速でかけました。しかし途中すごい人。。いつもは車もまばらな国道がこの通り人とバイクと車で一歩も動かない状態。スバイリエンタウンのいつもの人口が何倍にもふくれあがった感じです。
改めて別のルートで川岸にたどりつき、やっとレースを見ることができました。
村対抗だったようで、呼ばれる名前の中にはIVYに縁のある村の名前も。普段農作業で鍛えた身体の男たちが、ぴたりとそろった動きで船をこぐ姿はなかなかりりしかったです。
しかしこの川、スイレンがびっしりと生い茂っていて私の気に入りの散歩コースの一つだったのですが、みごとにみな刈り取られてました。。
(M)
10月15日: IVYの事務所に新しい顔

日本に18日間ほど帰っていました。毎日いろいろやることがあって、もうちょっといたいな~と後ろ髪を引かれながらカンボジアに戻ってきました。スーツケースを車に積んだまま、事務所に戻らず、野菜共同出荷事業のリーダー研修の行われている村に直接向かいました。私が離れる前はちょうど田植えの時期でしたが、今は青々とした田んぼがどこまでも広がっていました。村の女性たちのいきいきと様子もいつもどおりでした。久しぶりに見たスタッフも充実したいい顔をしていました。こういう風景を見ると、うん、今はやっぱりここが私のいるべき場所なんだな、と感じます。
ところで今日は事務所に新しい顔が登場しました。コミュニティー開発チームで抜けたスタッフの代わりに、なんと村の女性組合委員(女性組合のリーダー。村に数人いて選挙で選ばれる)の女性をパートタイムのスタッフとして雇うことにしたのです。チャリヤさんといって20代の一児の母です。(写真上、中央)
頭良し、器量よし(というのが私の判断)、性格良し、でスタッフのイチオシで決まりました。受益者が突然支援者になったわけですが、スバイリエンを拠点とするIVYにとってはそんなに驚くようなことではありません。なぜかというと、スタッフの中でも地元の村出身の人が実は多いからです。実は高卒のスタッフもたくさんいます。私の観察では地元、それも農家出身のスタッフは地元のために貢献したいという意志が強く、私自身そういう彼らの気持ちを応援したいな、と感じます。高い能力を武器に高給を求めて仕事を渡り歩くプノンペンのNGOスタッフよりも、愚直な地方のスタッフに私は親しみを感じます。それででは地元で誰か雇える人がいるか、と考えたときに思い浮かんだのが女性組合の委員の女性たちでした。彼女たちの勉強熱心さ、理解能力の高さにはいつも感心させられてきました。もし機会さえあれば、もし時代や状況さえ違ったら、私なんて足元にも及ばない、ものすごい優秀な人材として社会で活躍していたんだろうな、と思われる女性たちが何人かいました。この選択に私に直接ではありませんが、異を唱えるスタッフがいなかったわけではありません。住民は外部者のNGOスタッフの話は聞くけど、同じ住民の話は聞かないのでは、と。でも本当にそうでしょうか。そしてもしそれが本当だとしたらそれでいいのでしょうか。実際今週の研修でそれを試す機会がありました。初めに野菜共同出荷活動が始まった村からマネジャーの女性にゲストとして新しく活動を始める村に来てもらい、話をしてもらいました。みな真剣に彼女の話を聞き、「質問は?」と促すまでもなく、たくさんの質問が投げかけられていました。
さてチャリヤさんの事務所出勤の初日。お昼はどうするのかしら、と思って他のスタッフに確認すると「彼女のお父さんが来ているから」と言う。なんと女性が初出勤するときは、最初の数日は父親が送り迎えするそうだ。「カンボジアではそういう文化なのよ。私もそうだった」と女性スタッフ。なんと過保護!変な男に目をつけられたりしないように、ちゃんと父親が見張ってるぞ、ということを示しているのだろうか。
そう、チャリヤさん、ちゃんと挨拶で「地元に貢献したい」と言っていました。スタッフの話では、出稼ぎだと村を離れないといけないけど、IVYで働けば村を離れずに同じかそれ以上の収入を得れるので、家族も喜んでいるとのこと。たった一人ではあるけれど、村に雇用も生み出したことになるんですね。能力があればNGOのスタッフにもなれるんだ、と農村の女性たちが思ってくれる、そんなロールモデルにチャリヤさんがなってくれればいいな、と思っています。早速携帯電話も購入し、英語も習い始めたそうです。やる気まんまんですね。
(M)
10月12日: おばちゃんの一言にドキリとする。

女性組合のリーダー研修を視察してきた。
朝8時半から午後3時半までの研修5日間に付き合うのは私にとって少ししんどい。ビニールシートをひいたコンクリートの上に長時間座っているとお尻と腰が痛くなるし、農村では頻繁にトイレに行きにくいので水分を取るのもひかえめにしないといけない。しかもこの研修は今回の野菜共同生産・出荷プロジェクトには直接関係していない。それでも研修を見てみたいと思ったのはわけがある。1999年から始まったIVYのスバイリエン州における活動の最大の功績と言えるのが女性組合とその組合の委員たちの女性。この人材がどうやって育成されていくのか見ておかなければIVYの活動について語れない、カンボジアの農村の女性たちについて語れないと思ったからである。
一日目の研修はリーダーについてとファシリテーションについて。
リーダー、つまり女性組合の委員になる素質や資格について、グループディスカッションする場面があった。
あるグループの発表で、「自分たち、自分たちのコミュニティーを信じること」という発言があった。
「どういう意味ですか?」とスタッフを通して聞いてみた。
一人のおばさんが立ち上がって私に向かって説明した。「自分たちのコミュニティーが発展していくと自分たちで信じることができなければいけない。希望を持つこと。そして自分たちにその能力があると信じること。」
つまりhave faith in ourself,in our communityということですね。英語で言うと。もしくはpositivity。大事なことです。
しかしこれを聞いてドキっとした。農民たち自身の可能性を信じること。これってNGOスタッフである自分たちもしていただろうか。「どうせあの村は何をやってもだめだ」とか「農民には無理」とかそんな会話が事務所では時折飛び交っているのは否定のできない事実だ。自分に目を向けると「カンボジア人には無理」「カンボジアはどうせダメだよね」と彼らの聞こえないところで本気では思っていないにしろ、日本人の間でつい口がすべって言ってしまったりしてなかったか?
でも本当に必要なのは、本当に欲しかったのは、彼(女)らが自分たちの力でなんとかしようと思うこと。そのためには彼(女)らが自分たちの能力を信じなければいけない。希望という名の木は彼(女)ら自身が植えなければいけない。私たちのできることはその木に水をやることでしかないのだから。
その場にいた参加者やスタッフは普通にふむふむと聞いていたが、私は自分の母ぐらいの歳のその叔母ちゃんの発言の意味の深さにいたく感じ入っていた。
最近仕事にも少し慣れてきて天狗になっていたかもしれない。おばちゃんたちから、また学ばさせてもらいました。
(写真:昼食はみんなで持ち寄った手料理を囲みます。私が食べてるのを見ると喜んでくれます。)
(M)
