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IVYのスタッフがいつも懇意にしている家庭がある。生産者グループのマネージャーの家で、共同出荷の集荷場にもなっている。村を視察に来る人がいると、たいていここの家に昼食を準備してもらう。料理も上手だし、家族をあげて歓迎してくれるのでお願いしやすいのだ。旦那さんはいつもにこにこして私たちを迎えてくれる。畑仕事も主に旦那さんの仕事だ。スタッフは奥さんがいないときでも、この家に寄って旦那さんと話をしていく。
先日焼酎作りをしている家に連れていって欲しいとスタッフに伝えたところ、連れてきてもらったのがまたこのお宅だった。在宅だった旦那さんが作業の説明をしてくれた。毎朝この仕事をするらしい。焼酎は村の中やプノンペンで売られる。
「野菜も作るし豚の面倒も見て、焼酎も作って働きものだね」とスタッフに言うと、「彼は変わったんだって奥さんが私に話してくれた。IVYが来てから変わったって。」 もともと働き者で、にこにこしている人だと思っていたので驚いた。
「どうして?」って聞こうと思って、やめておいた。なんとなく分かる気がしたのだ。
彼のにこにこした優しい目の奥にある繊細さ。あまり働きもせずぶらぶらしていたころ、彼の家にIVYが来るようになって、彼はうれしかったんだと思う。人前に立つのが苦手だった奥さんをIVYのスタッフは励ました。家で会合や研修が開かれるようになった。IVYのスタッフに教えられて彼が畑で野菜を作るようになると日本人が大勢で視察に来るようになった。みんな彼の新しい豚小屋にいる豚の写真を撮っていった。全てが彼の人生の中では新しい出来事だったんだと思う。
今年彼は女性組合生産者グループのメンバーによって、農業技術普及担当のテクニカル・リーダーに選ばれた。もう彼は「働かない旦那」ではない。女性組合リーダーの立派な一員だ。

(写真:野菜の出荷を手伝う旦那さん)

(M)