特定非営利活動法人国際ボランティアセンター山形

山形IVY スタッフ便り
カテゴリー: プロジェクト
著者: ivy
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IVYのスタッフがいつも懇意にしている家庭がある。生産者グループのマネージャーの家で、共同出荷の集荷場にもなっている。村を視察に来る人がいると、たいていここの家に昼食を準備してもらう。料理も上手だし、家族をあげて歓迎してくれるのでお願いしやすいのだ。旦那さんはいつもにこにこして私たちを迎えてくれる。畑仕事も主に旦那さんの仕事だ。スタッフは奥さんがいないときでも、この家に寄って旦那さんと話をしていく。
先日焼酎作りをしている家に連れていって欲しいとスタッフに伝えたところ、連れてきてもらったのがまたこのお宅だった。在宅だった旦那さんが作業の説明をしてくれた。毎朝この仕事をするらしい。焼酎は村の中やプノンペンで売られる。
「野菜も作るし豚の面倒も見て、焼酎も作って働きものだね」とスタッフに言うと、「彼は変わったんだって奥さんが私に話してくれた。IVYが来てから変わったって。」 もともと働き者で、にこにこしている人だと思っていたので驚いた。
「どうして?」って聞こうと思って、やめておいた。なんとなく分かる気がしたのだ。
彼のにこにこした優しい目の奥にある繊細さ。あまり働きもせずぶらぶらしていたころ、彼の家にIVYが来るようになって、彼はうれしかったんだと思う。人前に立つのが苦手だった奥さんをIVYのスタッフは励ました。家で会合や研修が開かれるようになった。IVYのスタッフに教えられて彼が畑で野菜を作るようになると日本人が大勢で視察に来るようになった。みんな彼の新しい豚小屋にいる豚の写真を撮っていった。全てが彼の人生の中では新しい出来事だったんだと思う。
今年彼は女性組合生産者グループのメンバーによって、農業技術普及担当のテクニカル・リーダーに選ばれた。もう彼は「働かない旦那」ではない。女性組合リーダーの立派な一員だ。

(写真:野菜の出荷を手伝う旦那さん)

(M)
カテゴリー: プロジェクト
著者: ivy
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人が何か「初めて」のことに立ち会うのは、いつもなにかこちらもうきうきしてしまうものです。
今日は3人の女性組合の野菜販売員が初めて女性組合として市場で販売する日。そのうち二人はもう既に普段も販売しているそうで、態度も堂々とし売り方も慣れたもの。初めての一人はまだそこまではいかないものの、先輩たちにまじって早々と売り切れた野菜に満足げ。私もスタッフも事務所を6時半に出発しましたが、彼女たちはなんと朝の4時に家を出たそう!新米の販売員は「昨夜は市場に行くのが待ちきれなくって寝れなかった。早く起きないと他の二人に追いていかれるんじゃないかって心配だったのよ。」とのこと。悪路をバイクで行くためちゃんと旦那さんに乗っけてもらって無事市場に来ていました。
一人50キロ以上の野菜を売り切ったあとは、IVYのスタッフと今日の振り返り。売り上げが好調だったからか3人とも疲れもみせずに雄弁で、話が止まりません。
「家にいえると退屈だし母がうるさいから、IVYの活動があると外に出れてうれしいのよ」といって本当に楽しそうに笑うおばちゃん。なんか聞き覚えのある発言ではないでしょうか? 母であり娘であり妻である女性は万国共通だなぁと思った一日でした。

(写真:野菜を売り切って帰路につく販売員の女性。話の女性とは関係ありません。)

(M)
カテゴリー: プロジェクト
著者: ivy
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農村開発というと貧困削減とか住民の収入向上とかいうことになるけれども、そんなにそれが一朝一夕で達成できることでないということを身にしみて感じている。だいたい私もローカルスタッフも含めてサラリーマンであるNGOのスタッフが、自営業である農家に教えることができる知恵などたいしたものではない。では国際NGOが農村にいる意味はなんなのか。農業にも自営業にも素人の私がここにいる意味はなんなのか。

カンボジア人の農民ができなくて日本人の私にできること、と考えるとそれは「つなげる」ことであるような気がする。人と人。人と情報。今回棚ボタで始まった経済特区バベットのカジノへの出荷、これまた棚ボタだが経営者が日本で働いたこともある韓国人だと判明。これは日本つながりを生かすいいチャンス。相手は手ごわいビジネスマンだが、それは若かりしころ下請け制作会社でその手を相手にしてきた経験を活かし、物怖じせず営業展開(?)。値段交渉をしたいIVYのスタッフと女性組合生産者協会の代表を連れてのミーティングのアポを取り付けた。

当初ミーティングというよりは顧客研究ということで、生産者協会のリーダーを連れて視察しようという計画もあったのだが、これは数ヶ月前に断念した。なぜなら私自身がカジノの施設を視察したときに、あまりのホテルのゴージャスさに圧倒されてカルチャーショックを受け、スバイリエンの村の女性にはカジノの視察は刺激が強すぎるだろうと判断したからだ。

しかし何度かカジノのマネジャーと会ううちに、彼が会うべきなのは仲介役の私ではなく、野菜を実際に作っている農家の人なのではないかという気持ちが強くなってきた。そこで清水の舞台から飛び降りるつもりで、はにかみ屋だが度胸はある生産者協会のリーダー、サレイさんにこのミッションをたくすことにした。

カジノへ向かう車の中から私はピリピリモード。
スタッフのクンティアの準備が遅れてもう既に30分の遅刻は確実。クンティアにはビジネスの約束には絶対遅刻しないこと、と自分のことは棚に上げてお説教。サレイさんも空気を感じてかだんまり。彼女の目にいったいカジノはどう映るのだろうか。

今回は「相談ごとがある」と既に言ってあったので、カジノ側も韓国人の購買マネジャーにアシスタントマネジャー、クメール人のコーディネーター、チーフシェフと勢ぞろい。かたやこちらは女性3人でちょっとばかり心細い。心細いだけではなく、談話中にクンティアの電話が4回も鳴るわ、名刺は裏表反対で逆側を向けて相手に渡しているわでハラハラ。英語、クメールが飛び交うもちゃんとした通訳はされず、マネジャーの持論を聞く受身の態勢にまわっている。

しかし彼の口からはっきり聞いた。
「私たちは買えるもの全てあなたたちから買いたいんです」と。

その言葉がちゃんと電話が鳴り続けたせいでおどおどしていたクンティアからサレイさんに翻訳されていたかは分からないが、後で聞いてみたところ意図は十分通じていたようだ。
「野菜の値段のこともすぐに否定しないで持ち帰って考えると言ってくれた。私たち貧しい農民のことを考えていてくれるなんて想像もしなかった。うれしい。」

事務所に帰るとみな緊張も解けてリラックスモード。サレイさんが「緊張で口がこわばってうまくしゃべれなかった」なんて言ってみんなを笑わせる。彼女を待っていたもう一人の生産者協会リーダーがふと口を開く。
「でもIVYがいなくなったら、カジノへの出荷はどうなっちゃうんだろう。私たちだけでは続けていけない。」 

至極最もな疑問。でもそのために今日生産者の代表をカジノへと「つなげて」おいたのだ。

「大丈夫。サレイさんが今日カジノの人と名刺交換したから。携帯電話も(IVYの支給で)持っているし、何かあったら連絡できるよ」と私。

サレイさんは手帳から大切そうに一枚の名刺を取り出した。しかし彼女が読もうとしていた名刺は上下が逆。英語で書いてあったので判読できなかったのだ。そこでまたみんなで大笑い。

サレイさんがカジノに自分で連絡を取る日はまだ先かもしれない。
でも今日はとりあえず足を踏み入れた。貧しい農村の人だからと言って、買い取る側の言いなりになる必要はない。農村を飛び出して行動することもできるんだということを今日彼女に感じてもらえれば、私は役目を果たしたことになると思う。

(写真のTシャツの女性がサレイさん。左の女性がスタッフのクンティア)

(M)
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