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2002年7月より、循環式環境保全型農業の普及を目的として
「水と緑のプロジェクト」を開始しています。
これは、地域に適した農業を住民と共に模索していくというプロジェクトで、
その最初の一歩として、これまで女性組合プロジェクトを行ってきた
スバイリエン州スバイチュルン郡チューティール地区で
60アールの試験農場を運営していくことになりました。
試験農場で最初に取り組んだのは「米作り」。
この米作りでは2種類の試みを同時に行うこととしました。
1つ目は、「有機農法による在来種(プカークニィエイ)の栽培」
2つ目は、「日本式の田植えによる栽培」です。
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近年、村で流行している高収量のハイブリッド米は大量の化学肥料を必要とします。
しかし、必要量とされる化学肥料を購入するだけの資金がない家庭が多く、
投資のわりには期待される収量を得られないことがほとんどです。
逆に、大量の肥料を投入している田圃では、
土壌への悪影響が深刻で、年々収量が減少するという現象が見られます。
試験農場でのハイブリッド米栽培を主張するスタッフもいたものの、話し合いの結果、
一年目は在来種を用い、有機栽培での米作りを試してみることにしました。
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日本式の「等間隔植え」に挑戦
チューティール地区の田植えでは、通常、
一箇所 に10本前後の苗を狭い株間で
ランダムに植えていきます。
しかし、IVYでは、風通しと日当たりを悪くするこの植え方は
種籾を無駄遣いするだけでなく、
病害虫の原因となるのではないかと考えていました。
このため、試験農場では植える苗の本数を減らし、
一箇所に1本、または2~3本ずつを植えることとし、
また綱を張っての「等間隔植え」に挑戦しました。
8月、炎天下の中、IVYスタッフと村の有志の女性達が一本一本手植えを行い、
2日がかりでようやく田植えを終了しました。
一本植え、等間隔植えに慣れないためか予想以上に時間がかかり、
途中で等間隔植えを中止しようというスタッフまで現われました。
実は綱を張っての等間隔植えについては、
全スタッフが手を叩いて賛成したわけではなかったのですが、
話し合いの結果、この植え方に挑戦することになっていました。
最終的には皆が納得した、と考えていたのですが、
実際はその決定に不満、あるいは疑問を持っていたスタッフも いたということだと思います。
それでも「全員で決めたことだから」と何とかそのスタッフをなだめて、
予定通り田植えを終えることが出来ました。
立派に育った苗。しかし・・・
確かに当時の試験農場は、ぽつんぽつんと苗が1本ずつ頼りなげに植わっているだけで、
周囲の田圃に比べても格段に見劣 りしており、
これで大丈夫だろうかと私自身も不安に感じました。
しかし、その後稲は順調に分けつ(株分かれ)が進み、
病害虫による被害もほとんど見られなかったため、
試験農場の稲は周囲のどの田圃よりも立派に育っていったのです。
ところが10月、あるスタッフが事前の確認無く
試験田に堆肥を撒くという事件が起こりました。
通常田植えをして50日後に追肥をすることになっているのですが、
その撒き方に計画性が無かったため、
「一本植えと二~三本植え、どちらが良いか」
「等間隔植えとランダム植えと どちらが良いか」といった、
当初考えていた試験の結果が曖昧なものとなってしまいました。
これは、追肥についての話し合いをきちんと詰めていなかったことが原因で、
田植えの時同様、スタッフ内でのコミュニケーション不足を反省する結果となりました。
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平均の2倍近い量の米を収穫!
稲刈り当日は23名の村人とIVYスタッフ8名の合計31名での作業となりました。
収穫はというと籾収量で924キロ。
60アールの農場のうち、実際に田植えができた場所は約50アールでしたので、
ヘクタールあたりの収穫は1848キロとなります。
これは平均収量1トン/haというこの地区では2倍近い収量があったことになります。
試験農場で収穫した米は、粒の大きさや数、穂の長さや本数と
どれをとっても他の田んぼの米 とは格段に違うもので、
収穫を手伝ってくれた女性から「こんなに重い稲を持ったことがない」という
感嘆の声が聞かれました。
今回、一本/二~三本植え、等間隔植え、堆肥の利用という2点により、
健康な稲を作ることができ、それが豊作に繋がったものと考えられます。
また、一方で堆肥の利用、一本/二~三本植えにより、
田圃への投入資金も大幅に節約することができました。

こうしたことから村人に対するインパクトも大きかったらしく、
収穫後は口々に「来年は一本植えを行いたい」
「化学肥料 ではなく堆肥を利用するつもりだ」と話していました。
試験農場で試み、成功したことが僅かずつでも村人達に浸透し、
それによってこれまで深刻な米不足に悩 まされて来たこの地域の農業に
少しでも貢献することができれば考えています。
同時に、改善点も残されています。
今回、「有機農法による在来種栽培」、「日本式の田植えによる栽培」という
技術面においては、まずまず満足の行く結果を得ることが出来ました。
しかし、「スタッフ内で意見を擦り合わせる」という
基本的なコミュニケーションに反省点も多く、
これは今後我々の大きな課題の一つです。
今後、試験農場では3トン/ヘクタールの収穫を目指すとともに、
池を掘り果樹を植えるという本格的な循環式農業への転換を計っていく予定です。







