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第4回 「途上国の教育についての学習会」

2009年12月10日(水)18:00~21:30 仙台市市民活動サポートセンター

 



内容 : 識字教育(ノンフォーマル教育)について 

参考文献 : 
村田敏雄(2005)「第7章 識字・ノンフォーマル教育」 
黒田一雄、横関祐見子編『国際教育開発論~理論と実践~』有斐閣
 
~今回の流れ~
1、<導入> 非識字体験 ~「世界がもし100人の村だったら」より~
2、<展開①> 文献読解
3、<展開②> 問題分析
4、<まとめ> 各グループ発表、質疑応答、フリーディスカス
5、<発展?おまけ> ドイツのノンフォーマル教育 (講師:松村真理子さん)
 

 
2009年最後の学習会となりました! 今回は、これまでの知識の整理もこめて、教育開発に関する文献の読解をもとに途上国の教育問題について考えてみようと思いました。
テーマとして、「識字・ノンフォーマル教育」です。これまでの初等教育という枠組みから少し離れて、基本的な読み・書き・算が出来ないという問題はどういうことなのだろう、学校教育を受けられない、受けられなかったということはどういったことにつながるのか、という根本的な問題を私たちなりに考え整理しようと思いました。
 
はじめに、「世界もし100人の村だったら」という開発教育のワークショップを用いて、参加者に非識字体験を行ってもらいました。ここの進行は、田中ゆりりんにバトンタッチ!
 
参加者一人ずつ役割カードを手渡され、カードに書いてある現地の人になり、そこで使われている言語が分かるか分からないかで、進行役の指示が理解できるかできないかに大きな差が出ました。また、病気にかかって治療のための薬が欲しい!というときに、字が読めなかったらどうなるか、というシミュレーション行いました。3つのコップが用意され、それぞれどこかの文字で書かれたラベルが貼ってあり、このうち1つが正しい薬だという設定です。3つのコップの中身は、真水、塩水、砂糖水(確か、塩水が正解の薬でした!)だったのですが、飲むまでどれだか分からず、みんなでドキドキしましたね。(笑)
 
このような非識字体験を通し、「言葉が分らないことで劣等感を感じた。」「すごく不安だった。」「正しい情報が分からないことで、命にかかわる場合もある。」など様々な感想が出ました。
 
 
次に、今回扱う文献の内容に入りました。
では、ここで「識字とは」「ノンフォーマル教育とは」について簡単に説明します。
 

 



識字literacy):
 一般的な定義は「読み・書き・算(Reading・Writing・Arithmetic:3Rs)ができること」。日常生活における単純な文章を理解し、読み書きと簡単な計算ができる水準であり、就学したが初等教育の第4学年を修了していない状態と考えられている。
 また、この一歩上を「機能的識字」という段階でとらえることもあり、これは、個人の成長と所属するコミュニティの発展のため、継続的な読み書き算の使用が必要となる活動を行える水準として、4年生修了相当の学歴と想定されています。(注:「小学4年」という基準は、厳密には社会状況などにより異なる。)
 
ノンフォーマル教育
 学校教育以外に、ある目的をもって編成される教育プログラム。現段階で学校教育を受けていない人、つまり不就学児や成人が対象となり、内容は保健衛生や生活技能など学習者のニーズに応じて変わるものである。※参考、下表↓
 
フォーマル教育、ノンフォーマル教育、インフォーマル教育の特徴

 
フォーマル教育
(公教育、学校教育)
ノンフォーマル教育
(学校外教育)
インフォーマル教育
場所
固定
ほぼ固定
柔軟
時間
固定
やや柔軟
柔軟
主要目的
人格形成、学力向上
生活改善、収入向上
能力向上、資格取得
成果管理
成績、出席、卒業
目標達成度、満足度
多様かつ柔軟
内容
画一
多様
多様
実施主体
国家
任意団体
個人
指導者
有資格者(教員)
認定者(ファシリテーター)
学習補助者、自習
学習者
学齢児
参加者(参加希望者)
すべての人
開発との関連
人材育成、社会経済開発
生存、生計・福祉向上、人間開発
多様

※村田[2005] p.143 より作成
 
 

まず、文献より「識字、ノンフォーマル教育」について理解してもらい、両者の関係がかなり密接であることを知ってもらいました。(※識字教育は、NFEによって実践・発展されてきたという歴史があります。)
その後小グループになって、読んだ内容を踏まえ、『識字とノンフォーマル教育によって期待される効果(イイこと)ってなんだろう?』というお題で、ブレーンストーミング(以下BS)してもらいました。BSで出た意見はいつものように、共通するトピックごとにグルーピングしてもらいました。
 
 その後、文献に戻り、文献上の「識字、NFEの意義・効果」を読み、先に自分たちがBSで出したものと比較してもらいました。
文献には、「基本的人権の尊重、生存の確保、貧困の削減、平和の構築」の4つの側面が主に期待できるとされていました。ためしに、この4つのカテゴリーに先の意見を分類できないか行ってもらいました。
 
例えば・・
 (NFEによって)働きながら学習できる
 他人と話し合うことができる、自分の意思で投票できる →「基本的人権の保障」
 
 注意事項、説明書が読める、危険なものが分かる
 HIVに対しての知識が増える                →「生存の確保」
 
 お金の価値が分かる、商売ができる
 さまざまな技術が身につけられる             →「貧困の削減」
 
 他者への関心が高まる、想像力が増す
 集団での活動がスムーズになる          →「平和構築」
 
 
 
 
教育メリットs.jpg
なかには、「基本的人権の保障にも平和構築にもつながるのではないか」といったような、1つのカテゴリーに分けられないようなものもたくさんありました。教育がもたらす可能性の大きさも改めて理解できたと思います。概念でとらえることの難しさもありましたが、基本的な「教育」の意義を再確認できたような気がしますね!
 
 
次に、世界で行われている「識字教育、NFEに関しての現状と課題」について黙読してもらい、そこから気になった点、問題点を書き出ししてもらいました。
 
文献上では、「①政策的イニシアティブの強化、②利用可能な資源の動員、③NFEと学校教育との連携、④学習放棄者の減少」が大きな課題点として挙げられていました。
(①学校教育の普及に比べると、その代替教育としてのNFEは、必要としている人々がいるにもかかわらず、途上国での政策優先度がどうしても低くなってしまうこと。
②NFEは原則無償であるが、学校教育と比べるとドナーの関心を引きよせにくく、安定的な資金調達が困難である。それに伴い、NFEに関わる人材、物資、資金などを動員する工夫が必要であること。
③NFE学習者の進路選択の幅を広げるのが重要であり、学校教育への復学、進学が学習者のモチベーションとなる。
④就学義務がなく、労働しながら学習している場合がほとんどで、途中で学習を放棄する者が多い。そのため費用対効果が低い。)
 
 NFEの問題分析s.jpg
 
そして、以上のような識字・NFEの課題で、特に深刻だと思われる問題を選択し、中心問題として設定してもらい、そこから問題分析してもらいました。以下に、例として、Aグループの問題分析を載せておきます。
 
<Aグループ;問題分析>
中心問題=「NFEの学習放棄者が多い」
 

 
教育格差が生まれる
 
NFEの評価が下がる
資金不足
 
 
学習放棄者が多い
 
 
 
学習者の意欲の低い
 
NFEのシステムが学習者に合っていない
周囲の協力が得られない
NFE修了の効果が分かりにくい
学習者のニーズに合っていない
学習内容が魅力的でない
学習者の実態把握不足
就学義務でない
職、学校制度への接続が不明確
学習者のニーズが多様
教員の質
評価システムが確立されていない
 

 
 
 
 
 
グループディスカッションs.jpg
 今回は、テーマとしてはなじみのない人もいたようで、「難しかった!」という声も上がりましたが、国際協力における教育分野のトピックとしては重要な要素の一つだと思います。国際的にも、2000年代以降「すべての人に識字を」を目標として、「Literacy as Freedom」(自由としての識字)をキーワードに、人々が無知、無力、排除の状態から自由になり、行動、選択、参加するための力を身につけることが強調されています。
人々の可能性を引き出すものとしての識字、それを実践するNFEについて、参加者の方と一緒に深く考えられたと思います。また、ある参加者が「NFEは将来的にはなくなった方がいいものなのではないか?」と発言していたのですが、どうなんでしょうかね? なくなるものなのでしょうか? う~ん。。個人的にここはもうちょっと考えたいなあと思っています。(←ちなみに現代階での私の卒論テーマは、NFEに関するものです。笑)
 
 
 
 おまけに?、今回はNPO法人まなびのたねネットワークの松村さんに来ていただいたので、松村さんが教育研修のために行かれたドイツでのNFEの現状について、お話していただきました。ドイツは、連邦制の教育制度で、小学4年生で大きな進路選択の時期を迎えるなど、日本とも、もちろんカンボジアとも、かなり異なる面があるのですが、職業訓練制度に力を入れている点などは面白いなあと個人的には感じました。このドイツの話に関しては、また別の機会にでもまとめて報告できればと思います!
 
 
 では、そろそろこの辺で!みなさまお疲れさまでした~☆